元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『「藪の中」の死体』  上野 正彦
2005-08-30 Tue 22:32
「藪の中」の死体「藪の中」の死体
上野 正彦

新潮社 2005-04-27
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 TVにもよく出る、元監察医の上野さん。彼が名作ミステリーを法医学の目で見て分析した本。タイトルと帯から、芥川龍之介の「藪の中」だけ扱ってるんだと思ってたら、他にも森村誠一や横溝正史、エドガー・アラン・ポー、松本清張なども分析。実際に起こった事件を例に挙げつつ解説してあり、素人にも理解しやすかった。
 中でも興味深かったのは、やっぱり「藪の中」の分析。誰が言い出したか知らないけど、「藪の中」の犯人は日本ミステリー文学最大の謎なんだって。その迷宮入りミステリーの真犯人がわかる日が来るとは。なかなか興味深い章だった。
 他はまあ、ポーを褒めたり、横溝正史の「犬神家の一族」は女性にあれだけの犯行は無理だけど、だからといって作品の芸術性に劣りはないとか、そういう分析の数々が結構面白かった。
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『ペギー・スー-魔法の瞳をもつ少女』  セルジュ・ブリュソロ
2005-08-30 Tue 20:45
ペギー・スー―魔法の瞳をもつ少女ペギー・スー―魔法の瞳をもつ少女
Serge Brussolo 金子 ゆき子

角川書店 2002-07
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 フランスのファンタジー。
 変な化け物が世の中を乗っ取ろうとしているけど、それが見えるのはペギー・スーだけ。しかも有用な撃退策はなく、魔法の瞳をくれた妖精は、時期が来るのを待てというだけ。そんな中、化け物達のせいで動物が知性と超能力を持つようになり、逆に人間が虐げられていく。
 絵がかわいかったらから中高生向けファンタジーと思ってたんだけど、結構残酷な部分もあって怖かった。フランスのファンタジーって初めて読んだけど、面白いもんだなぁ。いや、国は関係なくて、この作家がすごいのか。
 ペギー・スーが主人公なのに弱くて、あまりにも不遇すぎて痛々しかった。シリーズで続いてるけど、ペギー・スーの能力が向上することを願いつつ、続き読んでみよーっと。ファンタジー嫌いな人は受け付けなそうな展開だけど、好きな人は読んでみてほしい感じ。
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『夜のピクニック』  恩田 陸
2005-08-30 Tue 15:37
夜のピクニック夜のピクニック
恩田 陸

新潮社 2004-07-31
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 恩田陸はデビュー作『六番目の小夜子』しか読んだことない。それがつまらなかったからなかなか読みたい意欲が沸かないんだよね、恩田陸。人気だし定評もあるから、最近のは面白いんだろう。一度偏見持つと、なかなか読んでみようという気にはなれなかったけど、この本で吉川英治文学新人賞と本屋大賞を取ったことだしと手に取ってみる。
 舞台の高校には年に1回、昼夜を通して歩き通すというイベントがある。物語はそのイベントの朝から始まり、主人公2人の中にあるわだかまりを描きながら進んでいくストーリー。
 良かった。面白いっていうか、終盤の素直さがぐっとくる。偏見を押して読んだ甲斐があったよ!
 イベントが進むにつれて主人公達の疲労が増していき、段々と思考の中にある余分な部分が削れていく感じがとっても自然。地味ながらも素晴らしかった。ちょっと途中だらける部分もあるけど、じわじわ引き込まれる作品だと思う。
 ただ、周囲の友人達がえらく魅力溢れすぎる人間だというのがちょっと疑問だったか。
 恩田陸さん自身はそこそこ年齢を重ねた人だから、今時っぽい若者は描かれてない。ただ、どの世代にも憧れと共感を持てる人間を作れるとこは、さすがだと思った。
 まあ冷静に考えると、こんなこと言う高校生いるのかよと思わなくはないけどね。高校時代の私がひねくれてただけか?まあ、その疑問を作品が上回ってるからあんまり気にはならなかったかな。
 いい本でした。
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『頭がいい人、悪い人の話し方』  樋口 裕一
2005-08-29 Mon 15:55
頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)
樋口 裕一

PHP研究所 2004-06
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 ちょっと前に軽く話題になった本。まずは、こういう人は頭が悪いと思われる例を挙げ、こうすればいいと解いていく形式。
 さすがPHP出版。内容が薄い。実がない。有用性がない。例にあるような話し方をする人は多い。だからってそれだけで頭悪いと決め付ける人間が、果たしてどれだけいるだろうか。これに挙げられてるものを頭悪いとすると、私は完璧に馬鹿だな・・・・。いや、そこはまあ否定できないとこではあるけど、本書の通りだと大半の人間が馬鹿決定されちゃうよ。
 しかも改善策が全然だめ。解決になってないようなのばかり。これじゃあ著者が頭悪い人と疑ってしまう。
 この本読んで、時間を無駄にしたと思った。
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『QED 東照宮の怨』  高田 崇史
2005-08-25 Thu 16:01
QED 東照宮の怨 (講談社ノベルス)QED 東照宮の怨 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2001-01
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 QEDシリーズ4冊め。うーん、今回はあんまり面白くなかったかな。
 三十六歌仙を持つ人を狙った強盗殺人が今回の事件。犯行と三十六歌仙と日光東照宮の謎が絡んで、今回もタタルが積年の謎を解く。
 タタルの友人が嘘アレルギーという不思議な体質なんだけど、特異体質が出るとご都合主義くさいな。緊迫したクライマックスを迎える直前に特異体質を活用するのはどうかと。
 あと、途中のウンチクが長すぎる。ウンチクがこのシリーズの売りだし、興味深いけど、長すぎる。解決シーンで人を集めて歴史のウンチク始めるのはおかしいだろ。どうにか簡潔にできなかったのか。
 まあ次巻に期待するか。
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『黒笑小説』  東野 圭吾
2005-08-11 Thu 18:32
黒笑小説黒笑小説
東野 圭吾

集英社 2005-04
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 東野圭吾って、シリアスオンリーの人だと思ってたけど、これは何だかリアルにブラックジョークな短編集だった。テーマがバラバラだったから内容は一言じゃ言えないけど、目についたのは短編シリーズで、作家VS編集者みたいな感じで腹の探り合いするヤツ。そりゃあ作家の世界は厳しいだろうけど、何か笑えないし、醜い世界だなぁと思った。まあ半分冗談だろうけどさ。
 面白いかどうかは別問題として、全体的にさすがは東野圭吾だと思った。
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『Good Luck』  アレックス・ロビラ  フェルナド・トリアス・デ・ペス
2005-08-11 Thu 16:21
Good LuckGood Luck
田内 志文

ポプラ社 2004-06-22
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 一時期すごい人気だったよね。人気が引いてきたから読んでみた。ん~、159だからこんなもんか(専門ネタ)。
 人は前向きに前進し、他人に助言を謙虚に仰ぎ、努力をすれば幸福になれるという人生訓を、オッサンが何十年ぶりかに再会した幼馴染に昔話仕立てで話して聞かせる。魔法使いマーリンと騎士たちの冒険になぞって話すというストーリー。「チーズはどこへ消えた」もこんな感じだったような。
 へー、がんばったねぇで終える私は学習能力なさすぎなのかも。この本で行動力を掴めた人は、その人自身が素晴らしい素質があったんじゃないでしょうか。私は大して面白いとも思わなかった。
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『誰か』  宮部 みゆき
2005-08-10 Wed 20:35
誰か ----Somebody誰か ----Somebody
宮部 みゆき

実業之日本社 2003-11-13
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 期待して損した。全然面白くない。
 ある男性が自転車でひき逃げされて死んだ。残された娘二人が、父への想いを本にしたがっており、本を出版することによって犯人を見付ける手がかりにならないかと思っているらしい。編集の仕事をしている主人公は義父から頼まれて、その姉妹を手伝うことになった、という話。
 こういう手記って人気微妙なんだよねぇとか思いながら読み進めたけど、最後まであんまり波のない地味なストーリーだった。宮部みゆきだからこそ、このつまらんネタを何とか引っ張れたのかな。
 私がつまらんと思ったのは、そもそも主人公を好きになれなかったからかもしれない。平凡すぎるんだよね。平凡さが魅力な主人公もいっぱいいるけど、この平凡さは本当に面白くない。家庭とか普通すぎる。虚弱で美人の普通の奥さんに、かわいらしい普通の娘、仕事は財閥である義父のコネ。でも義父との関係は普通。主人公自身に魅力がなさすぎて、どこに焦点を当てて読んでいいのやら・・・・。
 宮部みゆきは「模倣犯」しか読んだことなくて、あれは面白いっていうか鳥肌立つような巧みな小説だったから、今回とっても期待した。その分がっかりも大きい。でも結構人気なんだなぁ。何でだろ。
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『ニート脱出-不安なまままでもまずやれるやれる事とは』  和田 秀樹
2005-08-04 Thu 18:26
ニート脱出―不安なままでもまずやれる事とはニート脱出―不安なままでもまずやれる事とは
和田 秀樹

扶桑社 2005-04
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 ニートじゃないけど読んでみた。ニートという言葉自体が新しいから、本で見るようになったのはごく最近。今年度入ってからぐらい?そういう意味では、この本は先駆けだと思う。
 内容は安易。専門家でも身内にニートがいるわけでもない部外者が、ニートはこうすれば治るはず!という考えをしているだけに過ぎない。
 雑誌のいちコラムなら面白いかもしれないけど、書籍でこのレベルなら駄本。
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『QED ベイカー街の問題』  高田 崇史
2005-08-03 Wed 20:16
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高田 崇史

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 シリーズ3冊目。これは面白かった。ホームズファンの集いにタタルと奈々が参加して、殺人事件に巻き込まれる。この事件そのものはイマイチなんだけど、シャーロック・ホームズについての謎と解説が面白い。
 シャーロック・ホームズは細かく読むと、矛盾とか謎がいくつかあるらしい。それをコナン・ドイルのうっかりじゃなくて、きちんと辻褄の合う説を立てている。その説が面白かった。私はシャーロック・ホームズは子供向けを何冊かと、ちゃんとした翻訳物を1冊程度しか読んだことない。そのために理解度が低かったのが残念だ。
 児童向けじゃなくて、きちんとした大人向けのホームズシリーズを読んだ事ある人は、読んで損はないと思う。
 実は私、タタルの決め台詞「QED(証明終わり)」はちょっと好き。
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『QED 六歌仙の暗号』  高田 崇史
2005-08-02 Tue 22:59
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高田 崇史

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 前作「百人一首の呪」より断然面白かったと思う。このシリーズは殺人事件は二の次で、重点はウンチクにあるようだ。
 ある大学で、七福神について調べた人が立て続けに死ぬ。最初に七福神の謎解きで命を落とした斎藤健昇の妹、貴子が論文を引き継ぐことにした。「QED」シリーズのヒロイン奈々は後輩の貴子に頼まれ、タタルと共に七福神調べに手を貸すことになった。
 サブタイトルは六歌仙のくせに、七福神の謎が中心。七福神の謎の解明が面白い。どっかの学者の一説に過ぎないのかもしれないんだけど、私は思いっきり納得しちゃった。感動するほどに。
 ちなみに殺人のトリックはつまらなかった。
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『問題な日本語』  北原 保雄
2005-08-02 Tue 20:43
問題な日本語問題な日本語

ハドソン 2007-09-06
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 意外なほどに真面目に言語学の本だった。「なにげに」「きもい」「ってゆうか」「~になります」「私って~じゃないですか」「私的には」etc.違和感を覚える言葉または言語の乱れとされている言葉を集めて検証したもの。それぞれの章をちゃんとした国文学者が書いてるので、信頼性も高い。
 中には言葉の乱れとされている用法も、実は古典に登場してたり、評価の高い純文学者が使っている。だから現代特有の言葉ではなく用法も間違いではない、というものもあって面白かった。こういうとこ、変化して当然の言語を間違いだの乱れだの言っている頭の固い輩に読んで欲しいと思う。
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