元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『失踪HOLIDAY』  乙一
2004-10-31 Sun 22:16
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乙一

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 乙一ラノベ作家時代の小説。20歳の時に出版された作品だ。さすがラノベ、絵が・・・。まあ気を取り直して。
 母子家庭で育ったナオは、母親の再婚で突然お金持ちの家の娘になった。再婚して2年後に母親は死んだけど、義父は相変わらずナオを娘として自分を大切にしてくれる。その後義父は、別の女性と再婚。ナオは再婚相手のキョウコと、衝突してばかりだった。
 14歳の冬休み、ナオはキョウコとの喧嘩をきっかけに家出を決意する。家出先は、家の離れに住むクニコの部屋。その部屋でナオは狂言誘拐を計画したが、この計画は思ったより大きな騒動を引き起こしていく。
 うーん、ラノベだな。まさにライトで読みやすい。軽いって馬鹿にしてるんじゃなくて、軽いのに面白いと思う。今まで私が読んだ乙一の本はヘビーな話が多かった。でもこの話は、「あとがき」で飄々としている乙一テイストに通じるものがある。今までは作品と「あとがき」とのギャップに驚かされることも何度もあったけど、こういう作品でああいう「あとがき」だと自然だな。とりあえず、面白い。これまでの作品とちょっと違って、ストレートに面白い。特にナオの豪放磊落っぷりがいい。クニコが「ジャイアンのよう・・・」と言いかけるけど、そういう性格。
 今回のオチは途中でわかったかな。まあこれまでと比べて非常にわかりやすかったからであり、とてつもなく大きくてわかりやすいヒントがあったからなんだけど。ていうか、オチを隠そうとしてないし。それでもこの話は面白かった。最後にナオもクニコも幸せになりそうで良かった。
 同時収録の「しあわせは子猫のかたち」は『失はれる物語』で既読だったけど、少し寂しくて結構温かい話で何度読んでもいい。これはラノベって感じはしない。ていうかこれまでラノベってファンタジーとかキャラクター小説しか読んだことなかったけど、こういうのもあるのか。まだまだ勉強不足だな。ていうかラノベの定義が曖昧すぎるのも悪いと思うんだけど。
 でも、これを20歳の若者がねぇ。あくまで出版が20歳だから、執筆したのは18とか19くらいだろう。どの本か忘れたけどいつもの「面白あとがき」で、就職活動したくなかったから作家になったと書いてあった。本当かどうかは知らないけど、神様、乙一のような才能ある人を作家にしてくれてありがとう。
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別窓 | [あ行の作家]乙一 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『介護入門』  モブ・ノリオ
2004-10-17 Sun 22:51
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モブ・ノリオ

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 2004年芥川賞受賞作品。薄い本だし字も詰まってないから小一時間で読むつもりだっただけど、じっくり読むタイプの本だったから意外と時間食った。
 この文体は不評らしい。芥川賞選考委員会では、山田詠美が「かっこ悪い」とまで言ってたとか。私は結構、このだるっこい文体好きだな。確かに最初は入り込むのが大変だったけど、主人公のアイデンティティが掴めたら、この文体のまとまりが見えてきたと思う。
 ラップ調と聞いていたけど、全然ラップ調じゃなかった。時々韻を踏んでるような踏んでないような。あと、頻繁に「YO、朋輩」と語る。この言葉が不評を招いてるっぽいんだけど、そんなに責め立てるような駄語かな?この言葉によって強調を表してると思うし、その強調が読み手に語りかけてるようで良いと思ったんだけど。そんなに変かなぁ・・・・・・。いや、変だな。変だけど、読み手に「何を他人事ぶってんだよ」と言ってるみたいで面白いと思った。他に代用できる言葉はあっただろうけど、作者がこの言葉が一番いいと思って使ったんだろうからこれが一番いいんじゃないかなー。
 とりあえず、作品自体は面白かった。ストーリーはなくて、自分の体験というか介護と向かい合った生き方を書き殴ってるだけだけど、ちゃんとまとまりや説得力があって、こういう小説もアリだと思う。小説って言うか私小説かな。
 それにしても、去年に引き続き、芥川賞は不評ですなー。
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