元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『夏と花火と私の死体』  乙一
2003-11-13 Thu 21:44
夏と花火と私の死体 (集英社文庫)夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
乙一

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 『ZOO』『GOTH』と、驚愕を与えられた作家・乙一。彼が私と同い年ということにも驚いたけど、デビューは17歳の時とはこれまた驚き。直木賞とかみたいに大きな賞ではないけど、栗本薫なんかが大絶賛だったらしい。
 で、読んでみたわけなんだけど、面白かった。

 「わたし」は9歳の女の子。彼女は突然、友達の弥生に突き落されて死んでしまう。弥生は自分が押したことを隠し、兄の健に相談した。健は最近勃発している連続誘拐事件と思われるよう、「わたし」の死体を隠すことにする。2人は大人に死体が見つかりそうになる度に、次々と隠し場所を変えていき・・・というストーリーが、死体である「わたし」の一人称で語られている。
 子供2人が死体を隠そうと奔走する点も斬新だけど、まずこの手法が驚き。ずっと「わたし」の一人称、つまり健と弥生が自分の死体を運んで隠す所を語ってる。しかも冷静に淡々と。さらに乙一、文章が上手い。流れるような文章に、のめり込んで読んだ。そして最後にゾクッとさせられた。
 すごい。乙一がこれ書いたの、16歳の時らしい。高校生で青春を謳歌せず小説書くなんて暗いと思わなくもないけど、完成した作品がこれなら素晴らしい。
 同時収録の「優子」も面白かった。時代設定は昭和中期くらいの話だろうか。越家に奉公にきた清音は、その家の奥さんを一度も見たことはなかった。主人の政義も清音に優子を見せまいとしているようだ。どうしても気になった清音は、政義の留守中に優子の部屋を覗く。そこで清音見たものは、一体の人形だった。
 これもなかなか衝撃的。「夏と花火~」が面白くて没頭し、ちょっと疲れ気味で読んだにも関わらずこっちにも没頭してしまった。最後には、おお!と驚かされたし。驚いてもう一度読むと、あちこちに伏線がある。これまで読んだ乙一作品もそうだったけど、叙述トリックがかなり上手い人だと思う。
 全体的に見て、無駄な箇所がほとんどないところ、好きだ。無駄を極限まで削ってあるのかな?それでいて、余すところなくすべて伝えてもらったような印象を受ける。物語を楽しむと同時に、乙一のテクニックにひたすら感動した。
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