元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『1ねん1くみ1ばんワル』  後藤 竜二/長谷川 知子
2016-09-15 Thu 11:41
1ねん1くみ1ばんワル (こどもおはなしランド (2))
後藤 竜二
ポプラ社
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 くろさわくんは、クラスでも団地内でも有名なワルで、大怪我をしても、クラスメイトとトラブルがあっても、全然めげないで大暴れしている。そんなくろさわくんに時々いじめられ、恐れながらもちょっと憧れを抱いている「ぼく」の目線でくろさわくんを観察している物語。


 孤高のやんちゃ少年くろさわ君、くろさわ君の無茶ぶりを断れない「ぼく」、挿絵では若くて美人で包容力半端ない先生の話を、子供の頃は面白く読んだもんだ。くろさわくんみたいな友達がいたら面白そう、って思ったりもした。
 親的に言えばこんな子が同じクラスなんて勘弁!自転車で滑り台を滑り降りるなんて、万が一無関係の子が怪我したらどうするんだ。スーパーカーごっこと称して馬乗りしたり、いちいち授業が滞ったりなんて、冗談じゃない。
 私事だけど1年生の我が子のクラスに乱暴な子がいて、しょっちゅう暴力を振るわれる。うちの子も余計な一言が多いタイプだから、なおさらトラブルが多いようだ。担任には最初は相談調で話してた私だけど段々強めに訴え、ちょっと前に目の近くを殴られて「マジでキレちゃう5秒前」となりつつ大した事なかったんで怒りを治めて担任に強めに文句言ったんだけど。この本を四半世紀ぶりに読んで、担任が言ってた「子供同士のよくあるトラブル」って言ってた意味がわかった気がする。
 先生の話から、くろさわ君にはお母さんの不在が伺える。父子家庭で父親が忙しくて愛情不足の可哀想な子かと思いきや、父親とパチンコに行ったと言う。つまり父親しかいないけど、その父親も一般的な親ではないと。でもって負の連鎖でくろさわ君もちょっと周囲が見れない子に育っちゃってると。ていうか、くろさわ君ってアスペじゃない?やばい、私の頭が沸騰しそう。可哀想だけど、だからって我が子がそれで被害を受けるなんて納得いかない!って、あれ?うちの子に乱暴してる子はくろさわ君じゃないんだった、危ない危ない。
 とまあ、何だか重なっちゃって大変だった。この本には、くろさわ君の父親が話の流れでちらっと出てくるだけで、他の親は出てこない。語り部の親さえ、出てこない。つまり完全な学校社会、子供社会で完結している。これが、あるべき形なんだろうか。よく「親という字は云々」と言うけど、私は木の上で立って見てたら子供が自分で解決できずに助けを求めてきたから、木から降りてきた。で、また登らず、ずっと傍で口出しし過ぎてる?ていうか、何で私が親としての在り方を考え直してるんだ?ちょっと読むタイミングが良くなかったかな?
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『大きい1年生と小さな2年生』  古田 足日/中山 正美
2016-09-15 Thu 03:29
大きい1年生と 小さな2年生 (創作どうわ傑作選( 1))
古田 足日
偕成社   1970.03.01
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 2年生なのに幼稚園児と間違われるくらい背の低いあきよは、とても気が強い女の子。1年生になったばかりなのに3年生と間違われるくらい背の高いまさやは、弱虫で泣き虫な男の子。同じ登校グループで登校する時に怖い道であきよに手をつないでもらってから、まさやはあきよにすっかり懐いてしまう。あきよも大きいくせに頼りないまさやを、ほっとけないと思っていた。
 ある日まさやは母親と喧嘩して家出をしておじいさんの家を目指し、ついでにあきよが大好きなホタルブクロの花も取りに行くことにする。気の弱いまさやだったが、しっかり者のあきよの行動を思い出しながら勇気を出して歩いていく。

 
 めっちゃ気が強い女の子っているよねー。小学校の時の私とかさー。・・・若干黒歴史に分類されてるから、あんまり思い出したくないな。あと、どうにも気が弱い怖がりの子も、一定数いるいる!でもって、横暴な上級生も自分達の遊びこそ一番偉いって感じの3年生男子も、いるいる!まさやのお母さんみたいに、どうしようもない性分をつい叱っちゃうのは、母親としてあるある!って、私じゃん!っていう、とてもリアルで身近で活き活きとした人物像にだった。
 子供って必ず成長するのかな?いや、あきよとまさやは、お互いがいたから乗り越えるべき心の壁を乗り越えただけであって、誰にでも当てはまる事ではないのか?と、現在我が子の心の成長に悩む私は、読後に本気で考え込んだ。うーん、きっと成長はするけど必ずしも良い方向に成長するとは限らない、が正解かな。で、この本はフィクションの児童書だから、良い方向に成長してる。良い方向に成長させるには、必死で育児しないといけないんだろうなぁ。
 と、どうしても親目線で読んでしまう。いや、成長の事に着目しちゃうのは、子育て真っ盛りの親なんだから仕方ない。まさや君それは恋って言うんだよ、とか思いながら読む自分が、ちょっと情けなくなった。まさやはあきよを尊敬してる感じだけど、その尊敬は絶対恋になるはず。結婚式ではまり子がスピーチするってところまで考えて、本当に思考がおばさんになったと気付いた。
 この本は、活字が得意だからと言って未就学児が読んでも面白くないと思う。幼稚園、保育園とは全く違う、小学校の世界を知って初めて、自分で行動する事の勇気、発見、限界なんかを追体験できる本なんだろうな。うちの子は今1年生だけど、2年生になってからもう1回読ませてみたい。初めて下級生が出来た時、また違った面を発見できるんじゃないかなぁ。
 
 昔からある本だとは思ってたけど、久し振りに読んでみて子供の行動の自由さは古さを感じた。で、まさやがお菓子を買う時の物価に、かなりの古さを確信した。ダメ押しで、まさやがカラーテレビがある家庭にびっくりしてるシーンで、どんだけーと衝撃。
 出版年、1970年・・・。そんなに古かったのか。思い返してみたら確かに、まさやのお母さんの突き放す感じは昭和の育児だよなぁ。時代が変わると、ちょっとだけ色褪せるシーンがあってちょっと面食らう。どうにも仕方ないんだけど、なーんか気になっちゃうんだよね。時間って残酷。
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『ダンプえんちょうやっつけた』  ふるた たるひ/たばたせいいち
2016-09-14 Wed 12:27
ダンプえんちょうやっつけた (絵本・ぼくたちこどもだ)
古田 足日
童心社   1978.04.20
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 1978年出版の名作。「わらしこほいくえん」の豪華な園長先生と、年長クラスの9人の子供達の話。
 どんな遊びをしても園長先生には敵わないため、子供達はいつも悔しい思いをしていた。ある日、ちょっと遠くにあるために行ったことがない「ひなたやま」に出掛けた園長先生と年長クラスのメンバー。子供達は自分達でルールを決めて、海賊ごっこを始める。
 最初は見ているだけだった園長先生も途中で参加すると言い出し、「ダンプえんちょう」と子供達の戦いになった。


 ダンプ園長は、どんな遊びをする時も手を抜かず本気でやる。わざと負けたりはしない。それでいて要所では、とても優しさを感じる。共通の敵に立ち向かう子供達の逞しさと団結力は凄くて、この9人は未来永劫仲いいんだろうなって思った。
 本気で戦ってる両者が楽しくて、最後のクールダウンで終わるのが残念なくらい。今回はたかしとさくらが一番目立ってたけど、他の子が活躍する話が出てたりしないんだろうか。知り得る限り出てないとは思ってたけど、改めて調べてみたらやっぱりない。古田さん、シリーズ物のイメージが全くないもんなぁ。でも、売れたから続編書くってしないところに、勝手に潔さを感じる。続編を描けそうな物なのに1冊で終わる名作の唯一無二感は、結構好きかもしれない。
 最初に笑っちゃうのが、やんちゃで負けず嫌いな感じのたかしのあだ名が「ガラパン」ってとこ。お母さんが忙しすぎてパンツを洗濯できなかった時、お母さんのパンツを履いて登園するらしい。いや、お前はパンツ以前にズボン履けよ。むしろノーパンでいいからズボン履け。ズボンも洗えないのかな?いや、ズボン洗濯してなくてもいいから、履いて来なさい。
 本当、大人になって色んな事が見えてくる。ここは認可外の保育園だとか、たかしの家の貧しさを感じたり。ダンプ園長はもしかしたら、毎年年長クラスだけを「ひなたやま」に連れて行ってるのかもしれない、とか。ラストで滑り台代わりの神社の階段桁滑りで、たかしがさくらを支えて一緒に滑ってあげると優しさとか。ダンプ園長は何歳なんだ、結婚してるのか?結婚指輪はしてないけど・・・と、色々謎。
 この本とても音読しやすい。言葉を大事に考え抜いて書かれたんだろうなぁって思う。「えんちょうがダンプで おれはガラパン」の歌とか節つけなくてもリズムを感じる。
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『ながいながいペンギンの話』  いぬい とみこ
2016-09-14 Wed 11:30
ながいながいペンギンの話 (理論社名作の愛蔵版)
いぬい とみこ
理論社   1999.01
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 あるペンギン夫婦の間に生まれた2羽の子供は、片方は利発で勇気のあるルル、もう片方は少し弱虫だけどお兄ちゃんのルルが大好きなキキ。ルルから始まる冒険と、成長の物語。
 南極観察の人間に連れて帰られそうになる話、流氷に乗ったまま知らない場所まで流された2羽を子供のクジラが背中に乗せて送り届けてくれる間に起こる知恵と勇気の話、キキがとっくに出来るようになっている≪水もぐり≫の稽古をサボる話に分かれている。


 2羽のペンギンの冒険物語だと記憶していたけど、表紙のせいで記憶がねつ造されてたみたい。主にルルの勇気と無鉄砲さから起こる冒険物語だった。何度も何度も読んだはずなのに、四半世紀ぶりに読んだら一話目しか覚えてないという。おかげで新鮮な気持ちで読めたな・・・。
 赤ちゃんの頃、幼少期、少年期と思われる時期に分かれた3つの物語から成っていて、リアルなペンギンの暮らしと成長に合わせた危険な冒険が起こる。ハラハラドキドキやルルの知恵と勇気だけじゃなく、無謀さや驕る事の醜さ、別れの寂しさもあり、読み進むほど物語に引き込まれていって、とてもいい本だと思う。
 うちの子は、一番面白いのは二話目だと言っていた。シャチに襲われたけどキキの機転で退治したり、皇帝ペンギンに牢屋に入れられたりと、ハラハラドキドキ度は確かに二話目。
 でも大人目線で見たら中二病こじらせかけてるキキの様子や、キキのためにペンギンの先生が大怪我をしてキキが大反省する第三話は、ラストにふさわしかった。ペンギンの先生が子供達に、「(中略)ちゃんとれんしゅうしておかないと、『とき』は、まっていてくれないのだよ。きみたちは、もう二どと、ひよっこのペンギンになって、おとうさんやおかあさんに、あまったれることはできないのだよ」と話すんだけど、のらりくらり人生の私にはこれがめっちゃ胸に刺さる。昔は当たり前に読み流してたんだろうなぁ。
 文字ばかりのページが続くことはなく、挿絵がちょこちょこ入ってる。その挿絵がリアルな白黒画で、脇役に徹しながらも物語のしづらい部分を補ってて私は好きなんだけど、子供には不評。絵本またはマンガチックな挿絵の童話くらいしか馴染みなかったから、当然と言えば当然かな。
 初めて出版されたのは、1957年だとか。そんなに古かったとは・・・。全然古さを感じない話で、いぬいとみこさんへの尊敬の念が増した。
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