元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『バッテリー 6』  あさの あつこ
2009-01-13 Tue 12:42
バッテリー〈6〉    教育画劇の創作文学 (教育画劇の創作文学)バッテリー〈6〉 教育画劇の創作文学 (教育画劇の創作文学)
佐藤 真紀子

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 卒業式の日に巧は海音寺から、本気で巧だけに向かってくる門脇に、彼を怖がってない巧や豪は勝てないと言われる。また、横手中との試合に向けた練習では豪が海音寺から、巧はキャッチャーが豪じゃなくても投げられるか、豪は巧がピッチャーじゃなくても本気で捕れるかと言われた。巧も豪もその意味を考え、それぞれの結論を出す。
 門脇は巧の球を打つためだけに調整している。傍らで見ている瑞垣には、万全な状態で試合に臨めること見てとれていた。瑞垣は門脇の「天才」っぷりと真っ直ぐさに苛立ちながらも幼馴染で良き親友という仮面をかぶり続けていたが、それを海音寺に見破られていることにさらに苛立ちを募らせる。
 そうして、試合当日を迎えた。

 巧と門脇が出会った時からこういう終わり方しそうな気はしてた。新田東と横手の両方の書かれ方とか、あさのさんは野球にあんまり詳しくなさとことかで、そう思ってた。予想が当たったがっかり感が・・・。
 やっと読み終わったこの「バッテリー」シリーズだけど、私は他の司書仲間が言うほど面白く感じることができなかった。1~2巻目で運命的な出会いをした巧と豪を読むのは面白かったんだけど、豪が色々考えるようになってしまってからはどんどん面白くなくなっていった。6巻が一番つまんない。
 あさのさんは、描きたい事や伝えたいことが物凄く多かったんだと思う。だからと言って登場人物の心情を細かくつぶさに書かれると、読んでて興醒め。私は読者の共感を上手く誘導してくれる作家さんが好きなんで、こんな風にがんじがらめな感じでくどくど書かれると疲れる。話進まなすぎ!とか思ってしまう。
 でも対象年齢を考えると仕方ないのかな?どう見てもローティーン対象の小説だから、その年代の理解力に合わせるとこうなっちゃうんだろうか。登場人物の心理をさり気なく書くに留めて説明するのではなくて感じさせる作家さんは、下手したら「何が言いたいのかよくわからない」と評価されるっぽいし。
 ふと疑問に思っていくつかの書評サイトを巡ったけど、やっぱ全体的に評価高いなぁ。大体のところベタ褒めだ。やっぱ面白くないって感じたのは、単純に私の好みの問題なのかもしれない。
 キャラの書き分けも微妙で、ふざけてる時の吉貞と瑞垣が丸かぶりだったり、すっかりクールになっちゃった豪と元々クールな巧が似過ぎてたり、瑞垣に対する海音寺と門脇の態度が見分けづらかったりして、モノローグの長さで集中力を欠いていた私には読みづらかった。
 そもそも誰も彼も、真面目に考え事をする度に男らしさが欠落していくのはなぜか。そのために段々ボーイズラブっぽくなっていくのはなぜか。いや、ボーイズラブ云々は置いといて、うだうだ考え込む割に彼らの成長を感じられないから、考え損の伸び止まりじゃないか。拾った犬が死ぬところも、巧にも青波にもどう影響したのか不明のままだったな。
 児童文学だから活字は大きい。でも6巻も読んだんだから、もう少し達成感とか感じたかったなぁ。後日譚らしき『ラストイニング』でも読むか。そういや『バッテリー』の文庫版には単行本に載ってない話が収録されているらしい。読み始めた以上はそっちも読んでおくか。評価ほど面白く感じないまま終わってしまったから、読む前のあの期待感をどっかで取り戻せるといいな。
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『バッテリー 5』  あさの あつこ
2008-03-31 Mon 00:34
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あさの あつこ

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 横手二中との再試合日を伝えに来た元キャプテンの海音寺をバッターボックスに、二ヶ月ぶりにバッテリーを組んだ巧と豪。なかなかストライクゾーンに入らない巧の球だったが、やっと入ったど真ん中ストレートはこれまでのものより威力のある球だった。しかし2人の関係は相変わらずぎくしゃくしたまま。
 巧の球をバッターボックスで見た海音寺は、瑞垣と門脇に会いに行く。天才スラッガーの門脇は巧に執着し続けるが、彼の幼馴染みである瑞垣は彼に対する嫌悪感が露呈し始めた。
 中学生にあるまじき頭脳を持つ瑞垣は、巧と豪のバッテリーを掻き乱すようなことを次々に言う。巧が投げた球によって彼の冷静な仮面はあっさりと剥がれた。

 いいね、瑞垣。こういう笑顔でドス黒い10代は大好きだよ。頭脳派笑顔キャラで門脇のいい友達のフリをし続けて欲しかったけど、とうとうキレちゃったのが残念。
 好きなキャラの話は置いといて。
 シリーズも5巻まで来ると、天才ピッチャーと捕球できるキャッチャーの運命的出会いだけじゃなくなる。これまで孤高を貫いていた巧が、初めて成長し始めた。最初は兆し程度の小さい物だけど、最後のバーガーショップでの「野球以外の話」の件は結構大きい。4巻まで野球しか見ないで下手したら嫌な中坊だった巧が、伊藤さんと豪の仲についてベラベラ話したり、さらにそのことを恥ずかしいと思ったり、怒られたことに納得してビビったり、皆でバーガーショップに行ったり、さらに野球以外の話をしたがったり。発展途上の少年達を描く話なのに、ここまで5巻まできてやっとこれだけ!?って感じがまた面白くもあり、成長そのものは大人の読者として微笑ましいやら何か嬉しいやら。
 豪が4巻で悩んでいたことは、気持ちの整理をつけた。ただ、巧の性格についていけなくなりつつあり、また豪らしさがなくなってきている。そういう心理描写は相変わらず手間隙かけてあって、読んでてメンドクセーって思う。でも、それも成長なのかなぁ。
 5巻は横手二中との再試合の話かと思いきや、それは最終巻である6巻で行われるようだ。野球の話なのにどんだけ野球やらないのか。まあ、スポーツの物語はマンガの専売特許みたいなもんで、特に試合の描写なんかは文章だと面白くない。あさのさんの書き方は試合のシーンを極限まで削ってあって、ある意味賢い方法だと思う。ピッチャーとキャッチャーにスポット当てすぎだけど、タイトルが「バッテリー」なんだから仕方ないか。
 しっかし、このBLテイストの文章はどうにかなりませんか?豪が巧の球を渇望する描写とか、巧が豪にキャッチャーであり続ける理由を聞くシーンとか、もうどうにもBLテイスト。男子が同性にだけは絶対使わないだろう的な言葉の羅列に、ちょっと気持ち悪いと思ってしまった。
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『バッテリー 4』  あさの あつこ
2008-02-17 Sun 21:06
バッテリー〈4〉 (教育画劇の創作文学)バッテリー〈4〉 (教育画劇の創作文学)
あさの あつこ

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 強豪・横手二中との練習試合を実現した新田中で、巧は横手二中の天才バッター門田を一回で完全に抑えた。しかしその直後、豪は横手二中の5番・瑞垣が言った「おまえじゃ、キャッチャー、むりやな」という言葉に翻弄されるようになる。巧は今まで経験したことないほど打ち込まれ、試合途中で降板させられた。試合自体も、学校に内緒で生徒だけで実施したことがばれて中途で中止に。それ以来豪は、巧が成長してもっと早い球を投げるようになった時に自分は捕れるのかという自問自答に縛られて巧を避けるようになってしまう。向かい合うことができなくなったバッテリーに、監督のオトムライは吉貞をキャッチャーにする方向を示す。

 元々心理描写に手間暇かけた本は好きじゃないんで、この巻はちょっと苦手だなぁ。グダグダうじうじ悩んでて、うっとおしいったら。1冊丸ごとかけて豪が悩んでて、巧も何となく戸惑ってるけど何もしない。横手二中の瑞垣や巧の同級生の吉貞が愉快に絡んでくるけど、やっぱ暗い空気は払拭されない。
 ていうか、中一の豪が巧の球を「美しい」とか表現できるもんかね?巧の性格は最悪なのに、友達とか普通にできるのは球が速いから?それだけで皆に受け入れられるもんなの?中三の瑞垣に、あの大人っぽさは行きすぎだろ。というような批判も加わって、面白く感じられなかった。中学時代なんて私はずっと昔に通り過ぎてるから、彼らの気持ちを理解できないだけなのかもしれない。
 私はこのシリーズ、気が向いた時に借りる程度の読み方しかしてない。3巻読んだのは去年の12月だし、2巻は9月。図書館で借りてて、他の本との兼ね合いもあってこういう読み方してるけど、一気に借りて一気に読めば山あり谷ありの巧と豪の成長とかもっと楽しめたかな?
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『バッテリー 3』  あさの あつこ
2007-12-06 Thu 21:47
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あさの あつこ

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 暴力事件によって野球部が活動停止になり苛立つ巧と豪。停止期間明けに行われたレギュラーVS.1年2年の紅白試合で、巧たちは野球が出来る喜びを実感する。しかし未だに不信感を抱いている校長を納得させるため、顧問兼監督の戸村強豪校の横手と練習試合をしようとしていた。 
 紅白試合が出てきて、やっと野球っぽくなってきた。しかも試合の描写がダラダラ長くなくて、いい感じ。いや、この本の良い所はそういうことじゃない。児童文学にありがちな青臭い青春とか、チームワークとかを一切否定するような巧の孤高さが良いと思う。また、死んだ魚の目をしてそうな(あくまでイメージ)展西のように「部活動は内申のため」「野球は特に好きじゃなかった」と本気で言うヒールっぷりも妙にリアリティがある。
 スポーツの世界って結構ドロドロしてるもんなんだけど、これまでの小説やマンガにはあんまり描かれてこなかった。あるとしても成人向けマンガくらいか。それを児童文学で無理なくやってのけてる。
 でもまあ、巧と豪が妙にホモ臭いのは女性作家ならではというか・・・。これじゃ噂好きの中坊の格好の餌食になりそうな関係だ。例え巧が怒り狂ったとしてもね。やおい嫌いの私がそう感じるんだから、腐女子にはたまらんだろうなぁ。
 
 ところでこの話、主人公が野球のチームワーク不要説を堂々と信じてる所が古臭いよな。なぜ「甲子園には魔物が住んでいる」というのか、あの言葉は気取ってるわけでも何でもないって野球好きなら知ってろよと巧にツッコミ。
 最近知ったことだけど、作者のあさのあつこさんは野球あんまり知らないそうだ。詳しい人が妙に細かく書いたら逆につまらないだろうし、今くらいの野球知識がちょうどいいのかも。専門知識はあまり求めないで話だけを楽しめば良くて、それが容易にできる本なんだから。だから主人公の野球に対する思いが昭和でも、気にしない。一応野球好きの私としては、ツッこんでおきたかっただけ。
 1巻辺り読んでた頃は、巧は豪と出会った事で色々氷解していくのかなと単純に思ってた。でも全6巻中の3巻まで読んでみて、そんな気配は微塵もない。もしかしたらこのまま巧は孤高のピッチャーのままなのかと思い始めてる。今回はすごいバッターが現れて、次はそいつとの試合っぽい。もし巧がそいつを討ち取ったらちょっと興醒めかな。このハイレベルな実力の中で、中1が高3をあり得ないから。
 それから私は、青波君の成長がちょっと気になってる。
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『バッテリー 2』  あさの あつこ
2007-09-27 Thu 21:45
バッテリー〈2〉 (教育画劇の創作文学)バッテリー〈2〉 (教育画劇の創作文学)
あさの あつこ

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 中学生になる直前の春休みに出会い、お互いの才能を認め合ってバッテリーを組むことにした巧と豪。2巻では中学生になっていた。全てにおいて野球を優先させる巧は、入学早々教師から反感を買う。また、彼の才能は先輩に嫉妬心を抱かせた。
 巧は本当に性格が悪い。強すぎる自我を持ち、それを絶対に曲げない上に、自分がされて嫌なことを平気で他人にする。ただそれは生来の性格じゃなくて、母親が病弱すぎる弟の青波しか見れなかったために自己防衛で作ってしまった性格なのかな。そう思わせるような書かれ方してる。巧は、青波が病弱じゃなかったら、もっと違う人間になってたかもしれない。
 今のところピッチャーとキャッチャーのことしか書いてない。次の巻辺りで「野球」をしてくれると思う。楽しみだ。
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