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2007-11-02 Fri 00:52
町人を描く時代劇短編集。 「堪忍箱」 火事で祖父が死に、母が意識不明となった。残されたお駒は決して中身を見てはいけない“堪忍箱”の存在を教えられる。彼女は、2年前に死んだお駒の父親や火事以来ずっと目が覚めない母親はもしかして箱を開けてしまったのではないかと疑うようになった。 これは何だか物足りなかったな。あやふやなまま終わっていった気がする。 「かどわかし」 畳屋の箕吉は、料亭の息子・小一郎から自分をかどわかしてくれと頼まれる。断って家まで送っていった箕吉だが、後日小太郎がかどわかされた時に真っ先に疑われてしまった。 箕吉、小太郎、小太郎の母親のおすえ、3人とも思うところがあり、一生懸命生きてる感じが良かった。 「敵持ち」 居酒屋の亭主が死に、板前の加助が板場を任せられた。しかし未亡人のお鈴に岡惚れした勇吉という客がお鈴と加助の仲を疑って、加助を脅すようになった。困った加助は同じ長屋に住む浪人の小坂井に用心棒を頼む。依頼初日、小坂井と共に仕事場から帰る途中に二人は人殺しに出くわした。 事件そのものがあっさり解決したのは良かったけど、小坂井のその後が気になる。小坂井の裏の顔を半端に見せられて終わってった。 「十六夜髑髏」 火事で家族をなくしたふきは、15歳で米屋に奉公にあがった。その米屋には、十六夜月の光が一筋でも店に差し込んだら旦那が死ぬという祟りがあるという。 これも何か中途半端だったなぁ。どの怪奇現象もあいまいだし、外に出た旦那がどうなったのかも不明。案外平気で、そのまま笑い話になってたりとかするんだろうか。どうなんだろうか。 「お墓の下まで」 藤太郎、ゆきの兄妹は、捨て子として市兵衛に引き取られた。15年後に彼らを引き取りにきた母親に、2人は大きく戸惑う。実は2人は捨て子ではなく、母親に「いつか迎えに行くから、それまで捨て子のふりをしていてくれ」と頼まれていた。しかし数年後「やっぱり迎えに来れない」と言われた2人は、自分達は市兵衛の子と思って生きていた。 ゆきは同じく市兵衛に引き取られた姉のおのぶにだけ真実を話すと、実はおのぶも訳有りの捨て子だったと打ち明けた。 一方父親の市兵衛も、子供達には言えない秘密があった。今は亡き妻のお滝が赤ん坊を攫い、隠して育てようとした挙句に死なせてしまっていた。 藤次郎とゆきの実母をきっかけに、家族4人が眠れない一晩を過ごす。 これは面白かった。最初に出てきた藤次郎とゆきの秘密がどんどん大した事ないように思えてくる。でも、4人は家族なんだよなぁ。4人全員の秘密は読者にしか知らなくて、おのぶと市兵衛はそれこそ墓の中まで持っていくんだろうね。 「謀りごと」 丸源長屋の差配・黒兵衛が、長屋の浪人・香山の部屋で死んでいた。誰が殺したのかわからないまま住人が集まって話をするが、黒兵衛には色んな面があったことを知ることになる。 人一人死んで穏やかじゃない話も出てるのに、何となく平和な話だった。 「てんびんばかり」 幼馴染のお美代が大黒屋に後添いに入った。何となく面白くない物を抱えたままのお吉は、お美代が大黒屋の旦那以外の子供を身篭っていると知る。2人で不幸を切り抜けてきてずっと一緒にいようと約束したのに、さっさと嫁いだお美代。告げ口すれば仕返しになると思いつつ、お吉その考え自体に苦しんでいた。 お吉の気持ち、何かわかる。お吉はお美代を守ってきたのに、彼女は自分のことだけを考えて嫁いだ。憎いのとは違うけど、どっか引っ掛かりを覚えるんだろうな。でも、お吉も幸せになりそうで良かった。で、お美代のお腹の子は誰の子なんだろう? 「砂村新田」 父親が目を患って以来不幸が続き、母親が働いても暮らしが厳しいためにお春は通い奉公に出ることになった。ある日、母親のことを知ってそうな口ぶりの男に会う。 この話が一番好きだな。短い間にお春の成長が見られ、父親も治りそうな気配。家族が支えあって窮地を乗り切ろうとしている感じで、良かった。 |
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2007-08-31 Fri 01:19
宮部みゆきの初期の時代小説。表題作+3編の短編集。初期の作品って、やっぱこんなもんか。今の宮部みゆきが凄すぎて、これはちょっと物足りなかった。 「かまいたち」 医者の娘おようが連続辻斬りを目撃する。番屋に駆け込んだが、同心を連れて現場に行くと死体が無くなっていた。同心達は目撃談を本気にしなかったが、おようはお奉行様の隠密だと言う青年と共に事件を調べようとする話。 話自体は全体的にオーソドックスで想定内のどんでん返し。そのまますぐ時代劇になりそうなくらいの王道っぷり。大岡越前守忠相が出てきたことが唯一の驚きだったかな。 「師走の客」 宿を営む夫婦が常連客から金儲けの話を持ちかけられる。しかしそれは、数年がかりの詐欺だった。トリックは微妙だけど、短いからサクッと読めて楽しめた。 最後のオチが、金が茶色くきらめいて出てくる感じが何とも・・・。いや、ビジュアルはイメージですが。 「迷い鳩」 岡っ引きの妹のお初が、通りすがりの女性の着物に血が付いてると指摘した。血はお初にしか見えておらず、この件からお初の特殊能力が判明していく。 この特殊能力で連続殺人事件を解決する話なんだけど、ストーリー自体はそれほど面白くはない。でも、登場人物が楽しかった。南町奉行所の根岸は実在の人物だし、彼が記した「耳袋」も出てきて、その辺の絡みが好き。実在の人物が出てくるフィクションって好きだ。 「騒ぐ刀」 「迷い鳩」と同シリーズ。お初の兄の六蔵が、夜鳴きする刀を預かる。他の人にはうなり声にしか聞こえなかった声が、お初には言葉として聞こえていた。 同じ時分、凶器不明の一家惨殺事件が相次いでいた。フィクションの常として、当然ながら二つの事件は繋がっていく。 「迷い鳩」よりオカルトテイストが強い。ラストの憑依シーンとかいまいちだったのに、読み終わったら何か怖かった。何でだろう。 全体的に、今の宮部みゆきならもっと面白く書いてくれそうな気がしてならない。何も考えないで読めたら面白いだろうけど、今の宮部みゆきがビッグすぎて変に期待してしまった。ネームバリューの先入観で娯楽を奪われたことが残念。 |
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2005-08-10 Wed 20:35
期待して損した。全然面白くない。 ある男性が自転車でひき逃げされて死んだ。残された娘二人が、父への想いを本にしたがっており、本を出版することによって犯人を見付ける手がかりにならないかと思っているらしい。編集の仕事をしている主人公は義父から頼まれて、その姉妹を手伝うことになった、という話。 こういう手記って人気微妙なんだよねぇとか思いながら読み進めたけど、最後まであんまり波のない地味なストーリーだった。宮部みゆきだからこそ、このつまらんネタを何とか引っ張れたのかな。 私がつまらんと思ったのは、そもそも主人公を好きになれなかったからかもしれない。平凡すぎるんだよね。平凡さが魅力な主人公もいっぱいいるけど、この平凡さは本当に面白くない。家庭とか普通すぎる。虚弱で美人の普通の奥さんに、かわいらしい普通の娘、仕事は財閥である義父のコネ。でも義父との関係は普通。主人公自身に魅力がなさすぎて、どこに焦点を当てて読んでいいのやら・・・・。 宮部みゆきは「模倣犯」しか読んだことなくて、あれは面白いっていうか鳥肌立つような巧みな小説だったから、今回とっても期待した。その分がっかりも大きい。でも結構人気なんだなぁ。何でだろ。 |
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