読んだ本をひたすら記録する備忘録ブログ。思ったことは全部書き、平気でネタバレしてます。
『QED 〜ventus〜熊野の残照』  高田 崇史
2008-08-28 Thu 23:08
QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)
高田 崇史

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 学薬旅行で熊野に行くと知って参加することにした「私」こと神山禮子。人と深く関わることを避けるためだけに、美人で気さくな棚旗奈々さんと共に行動することにした。しかし奈々さんは桑原崇と一緒にいる。結果的に3人で行動することになった「私」は、地元の自分より遥に熊野に詳しい桑原を変人だと思いつつ、次第にその知識の豊富さに圧倒されていく。
 熊野出身であることを隠して旅行に来ているものの、「私」はかつての忌まわしい事件を思い出さずにはいられなかった。そんな私をよそに桑原は日本の神話から、地元人の「私」さえ考えもしなかった説を次々と語る。

 今回は神山禮子さんの一人称で奈々やタタルを語るという、これまでにない試み。それに加えて叙述トリックも加わってるような加わってないような・・・。わかりやすいからミスリードされてるってほどでもないんだけど、このわかりすさが著者の意図したとこなのか試みたけど失敗し得るのかは謎。
 しかしまあ、この新しい試みが面白くない。でもこの作者に限っては、失敗というより「この人ならこんなもんか。メインはそこじゃないんだし」みたいな気分になって批判する気にもならないから不思議だなぁ。
 今回はタタルが熊野に抱いていた疑問を解き明かす。しかし熊野を知らない私にこの話は理解不能すぎ。そもそも日本の神話に出てくる人や神って読み方さえわからない。最初だけルビ振ってあるけど、そこで覚え損ねたらずっとわからない。そういう人物がとにかく大量にいるから、何が謎で何が解明したのかはわからない。
 熊野についてもそうだ。そもそも「熊野ってどこ?」というレベル。熊野古道が世界遺産に登録された時に初めて名前を知ったくらいだし。和歌山県だったんだなぁ。
 ただ、徐福のことは多少は知ってるから、彼が不老不死の薬を求めて日本が来たという説や、神武天皇じゃないかという説は面白いと思った。やっぱQEDを楽しむには題材をどれだけ知ってるかによるなぁ。ていうか私も日本の神話を知らなさすぎなのかもしれない。現代語訳の古事記は読んだけど、その時点で既に読めない名前に翻弄されて意味を把握してない部分が多い。私のような人間は、子供向けの古事記から読み始めるべきなのかもしれない。
 神山さんはずっと気に食わなかった。心の中のツッコミが煩わしい。地の文が不自然なこの著者らしいんだけど、それにしても・・・イラッ。確かに過去は重苦しいけどね。いつか吹っ切ってほしいと思うけどね。でも、猫かぶろうとしてかぶれてない人って何かやだ。かぶるならかぶる、かぶらないならかぶらない!
 それはそうと、小松崎と沙織って絶対デキてるよね。下世話ですが。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『QED 鬼の城伝説』  高田 崇史
2008-05-10 Sat 18:06
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高田 崇史

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 シリーズ9冊目。岡山県吉備津神社の占卜「鳴釜神事」は、その昔に大和朝廷によって退治された温羅(ウラ)の首が釜を唸らせて人の吉凶を告げる。一方、鬼野辺家に先祖代々伝わる大きな釜は、鳴ると当主が死ぬという噂があった。その噂を信じてなかった鬼野辺健爾だが、婚約者の妙見明日香に「後で蔵に来てごらん」と誘った直後、蔵の中で生首死体となって発見される。
 ジャーナリストをしている熊崎宛てに、この事件の投稿が来た。その事件を取材に行くという小松崎に、前から岡山で趣味の寺巡りをしたかったタタルが同行すると言い出し、ついでに棚旗奈々・沙織姉妹も誘って4人で岡山旅行をすることになった。タタルが急用で遅れるため、先に岡山入りした3人。少し観光した後に妙見明日香に会いに行った小松崎だったが、彼女の兄の妙見巧実も殺された。その後、鬼野辺家の二男の圭佑が自分が犯人だという遺書を残して自殺した。

 今回タタルが登場したのは物語の中盤過ぎ。そのために解説代役として、岡山行きの新幹線では沙織が岡山の鬼・温羅について調べてきたことを披露する。岡山に着いてからは小松崎に手紙を送った若い女性2人が詳しく勉強して開設するという設定。こういう女性たちって結構引くんですけどー。でも、それをやっちゃうのがこのシリーズ。人物像や会話や地の文の不自然さなんか気にしちゃいけない。
 タタルが合流してからは事件が急展開。圭佑の遺書は本物であること、手段、動機まで解明させる。同時に温羅伝説と桃太郎伝説の関係も考察する。殺人事件はいつも通りオマケみたいなもんだったんだけど、温羅伝説の方がかなり面白かった。
 このシリーズを読んでいていつも思うのは、この歴史に詳しかったらもっと楽しめるだろうなぁということ。私は場合によっては奈々より知識がないこともあり、よくわからないまま読み進むことが結構ある。しかし今回の話は桃太郎伝説。日本で一番有名な話と言っても過言ではない。だから今回の歴史考察は、かなり面白かった。
 このシリーズでここまで面白いと思ったのは、「ベイカー街の問題」以来だ。やっぱ取り上げられてるテーマの前知識がどれだけあるかって大きいもんなんだな。この本のタタルの説明だけで素人が理解できるほど上手くストーリーに溶け込んでないから、結局何となくってだけで読み流してるからすぐ忘れる。過去のシリーズ思い返してみても、どんな事件だったかとか歴史考察とかもう覚えてないし。2〜3回読めば理解できるし記憶に残るのかもしれないけど、そこまで魅力を感じてるシリーズでもないしなぁ。まあ、機会があれば読み返そう。
 桃太郎伝説は、丑寅の方向が鬼門だから反対の方角である動物「戌」「酉」「申」を連れて鬼退治に、という説が一番一般的だと思う。私も、昔の人って方角で験を担ぐとか能天気だなぁという程度にしか思ってなかった。でもタタルは、思いっきり根底から覆してくれた。この説の信憑性を高いと思うのは、私が単純だから?
 このシリーズの「式の密室」辺りから毎回賤民の歴史に触れ、次の「竹取伝説」からは必ずタタラに触れる。日本の歴史ってそんなにタタラ場から土着民を追いだしてきて利益を奪い、彼らを「鬼」として忌み嫌う風習を作ってきたんだろうか?それともこのシリーズがやたらとそんな話を取り上げてるだけ?私にはよくわからないけど、根深さには驚かされる。
 これだけ取り上げてると、ふと『もののけ姫』を思い出した。あれって朝廷がタタラ場を奪おうとしてどんちゃかやる話だけど、シシ神が首飛んで大騒ぎになってアシタカとサンが首を返して終了という、うやむやな結末だ。でも歴史的に見て、エボシ達はは結局朝廷にタタラ場を奪われるんだろう。QEDシリーズを読み続けて、ふとそう考えた。舞台モデルは出雲だそうだから、エボシ達も土蜘蛛とか呼ばれるようになるんだろうなぁ・・・と関係ない所にまで思考が飛ぶ。
 最近、奈々はしっかりとタタルを意識してるし、沙織も小松崎も気付いてる。それとは別に、沙織と小松崎がえらく仲いいのが気になる。ダブルカップルになるのか?50歳の男性が書いてるミステリーで?いやまあ、著者の年齢性別は関係ないと言えばないんだけどね・・・。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『QED 〜ventus〜鎌倉の闇』  高田 崇史
2007-11-29 Thu 22:19
QED  ~ventus~  鎌倉の闇 (講談社ノベルス)QED ~ventus~ 鎌倉の闇 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2004-08-06
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 奈々の妹・沙織が仕事で鎌倉の街を取材すると言う。新しい目で鎌倉を見ることができないかと考え、タタルを誘った沙織。タタルは奈々が行くのならと承諾し、奈々はタタルが行くのならと、3人で鎌倉に向かった。今回もタタルによって、歴史の闇が明かされる。
 源氏が鎌倉に幕府を開いたことによって始まった鎌倉時代だが、実際はいかに北条氏が牛耳っていたか、源頼朝が鎌倉にしか行き場がなかったこと、銭洗い弁天や鶴岡八幡宮の本来の意味とは、等々知られざる鎌倉満載。って、もはやこれは「教科書に載らない鎌倉の歴史」だな。
 一応推理小説のスタンスは崩さず、無理やり殺人事件を挿入してある。無理やりだ。偶然にジャーナリストの友人・小松崎に会い、彼から事件の話を聞くという程度。それでタタルは事件を説く。いやもうこの無茶っぷりは絶対わざとだと思う。そう思うと、シリーズ通しての「歴史考察」と「殺人事件」のフィット感のなさもありかな。
 歴史の話は面白かった。殺人事件の方は、かなりオマケ的レベル。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『QED 龍馬暗殺』  高田 崇史
2007-09-10 Mon 13:14
QED 龍馬暗殺 (講談社ノベルス)QED 龍馬暗殺 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2004-01
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 シリーズ7作目。研修で高知に行く奈々と、それにくっついて行く龍馬オタクの妹、沙織。高知の辺鄙な村に住む友人の家に招待された2人だけど、なぜかその家にはタタルも来ていた。
 そんな折、嵐のせいで起こった土砂崩れで村が孤立してしまう。3人で酒を飲みながら坂本龍馬の話をしていると、次々に殺人事件が起こっていった。
 タタルって幕末にも詳しいんだね。それはもう、ウザいほどに。龍馬が暗殺された時の状況を検証し、最終的には黒幕を推察する。最後にはあまり関わろうとしなかった殺人事件も解決させる。
 しかし今回の殺人事件ってこれまたあっさりしてるなぁ。身近で起こってる殺人事件より、100年前の暗殺事件の方に色濃くスポットが当たってるのも相変わらずだ。
 私がもう少し幕末に詳しかったらもっと楽しめたと思う。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『QED 竹取伝説』  高田 崇史
2007-08-21 Tue 01:08
QED 竹取伝説 (講談社ノベルス)QED 竹取伝説 (講談社ノベルス)
高田 崇史

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 いつも通り奈々、崇、小松崎がどんどん酒を飲みながら事件の話をするのがベース。崇が一見関係ない民俗学を話し出し、奈々がひたすら感心する。小松崎が「話がそれてる」と怒りながらも聞くが、最終的には全く無関係ではなかったという展開もいつも通り。
 今回の事件は、奈々が勤める薬局の上司が死体を発見したことから始まった。調べてみると、死体はその村に伝わる不気味な子守唄と同じ状態だったという。『悪魔の手毬歌』のパクリじゃん!とか言ってはいけないようだ。
 崇は『竹取物語』に隠された真実と「かぐや姫」の正体、作者にも迫るところは見所。私は一応国文科出身なんで、ネタの古代文学を多少興味深く読んだ。相変わらずこの著者、勉強熱心というか研究家というか、関連本を読み込んでる。
 崇の話す民俗学に必ず出てくる「鬼」の正体、被差別人種、現代に伝わる習慣の由来などは結構面白い。ただ、崇の話長すぎてダルいけど。
 このシリーズは最初の方と比べて、段々と恋愛カラーが出てきたみたいだ。最初は崇と奈々は先輩後輩という感じだったけど、今回は周囲がちょっとずつ2人をくっつけようとしてる気がする。崇も悪からず思ってるみたいな?ちなみに私の崇のイメージはDEATH NOTEのLだ。はい、どうでもいい。
 前回の『式の密室』で「式神」の正体の推察が書いてあって感動したけど、今回はちょっとつまんなかったかな。事件と民俗学が軽く空中分解起こしてる。民俗学に重点を置きすぎて事件の存在感が希薄。構成としては民俗学は伏線なんだけど、長するんでそっちがメインになってる。狙ってるにしても微妙すぎる絡みだ。嘘アレルギーも微妙。推理小説としては相変わらずB級。

これまで読んだQEDシリーズは
「百人一首の呪」
「六歌仙の暗号」
「ベイカー街の問題」
「東照宮の怨」
「式の密室」
「竹取伝説」

だけど、個々の面白さのレベルが全く違うのがある意味すごい。
 次は「龍馬暗殺」だ。

 ところで、崇はオカルト部部長で「崇」という字が「祟る」に似てるからあだ名が「タタル」、小松崎は空手部で熊みたいに体格がいいからあだ名が「熊つ崎」。どんだけ趣味悪いんだろうか。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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