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2007-09-21 Fri 18:26
小学6年生の時に埋めたタイムカプセルを開くために集まった39歳の元同級生達。集まったのは半数ほどだけど、その中に今の厳しい現実と向かい合いかねている4人がいた。それぞれの目の前にある問題をどう乗り越えればいいか、戸惑って前に進めないでいる。 彼らの子供の頃の人柄を「ドラえもん」の登場人物に例えながら現実と比較しているのが見事に嵌ってて、相対する現在の彼らの姿が妙に重苦しく感じられる。 メガネをかけていたために「のび太」と呼ばれていた克也はリストラ寸前、当時体が大きくて乱暴だった「ジャイアン」の徹夫は家庭崩壊。そのジャイアンと結婚した皆のマドンナ「しずかちゃん」である真理子は、徹夫からの暴力に苦しんでいる。一人だけ輪から外れている淳子には「ドラえもん」のキャラ役柄はないけど、予備校講師としての地位がどんどん低迷している最中だ。 当時の未来の象徴だった大阪万博も絡め、徹夫と真理子の2人の娘も巻き込まれながら、現実はますます歪になっていく。 重いけど読まされる。どうなるのかと読み進めたけど、何とかなりそうな、ならなさそうな、でもわりとほのぼのする終わり方で良かった。徹夫・真理子夫婦は本当に、どうなるんだろうなぁ。結構末期っぽかったけど、再スタートできるんだろうか。読み終えてからそんなこと考えてしまうくらいリアルな現実を、読み手にも突きつける本だと思う。 「トワイライト」は「黄昏」という意味。最後のシーンと、人生における39歳という地点を掛けてるんだろうか。上手いよなぁ、清。 |
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2007-09-09 Sun 23:26
『その日の前に』を読んで、他の著作物も読んでみたくなった作家さん。適当に借りたけど、ダークな話だった。「いじめ」と「家族」をテーマに描いた5編の短編集で、リアルだけど何か冷静で、やっぱすごい作家さんなんだなぁと改めて思った。 「ワニとハブとひょうたん池で」 ある日突然、つまらない理由でハブられることになった女子中学生ミキが主人公。平坦な日常にゲーム感覚で「ハブられ」てると理解したミキは、ゲームに負けないように耐え続けた。時々、ワニが住み着いたという噂の近所の池に行って、ちょっと心を病んでるっぽいおばさんと話す。多分それが息抜きみたいになってたんだろう。あとは極力平静を装ってる。 彼女が両親にだけは知られないようにと願う心理描写が見事だった。心配をかけたくないからじゃなくて、意地というかプライドというか、そんな感じ。 男子は「弱い者いじめ」がエスカレートしていくイメージだけど、女子って変哲ない所から集団無視が始まる気がする。何でなんだろうね。 「ナイフ」 体が小さいことで悩んだ少年期を過ごした父親が、同様に体が小さいためにいじめを受けている息子に向ける眼差しの変化を描いたもの。心配する母親に、大丈夫と言いつつ息子と向かい合うことを避けているように見えた。当然息子も、いじめられていることは隠している。 ある日父親はナイフを買ってポケットに忍ばせ、何かある度に「けれど私はナイフを持っている」と思うことで自分を強く保とうとする。 我が子がいじめを受けた時の親の無力さってこんなんだろうか。最終的にはいじめられている息子と向かい合うんだけど、何も解決してないと思うんだけどなぁ。内容的には釈然としないけど、親が関わっても解決しないのが「いじめ」なんだろう。 「キャッチボール日和」 ひどいいじめを受けている大ちゃんの幼馴染み、好美の目線。 高校球児だった大ちゃんの父親は、息子に大好きな野球選手の名前を付けた。しかし息子はひ弱で、陰湿ないじめの対象になっている。父親はそれを認めることができないで「逃げるのは負けだ」と転校も許さない。 好美はいじめにも大ちゃんの親子関係にも口を挟むことなく、明るくて無難で冷静な少女として存在している。傍観者って一番ありがちで、一番賢い手段だと思う。でも最終的には相容れない親子の架け橋となって、少しだけ2人が歩み寄る手助けをしてくれて、良かった。 これはいじめのシーンが一番悲惨だった。よく自殺しないで耐えたなと思うけど、多分こういう子は自殺する勇気もないんだろうな。いじめる側を認める言葉になるけど、「いじめられる方も悪い」タイプだと思う。 「エビスくん」 ひろしは重病を抱えて入院している妹に、学校で起こったことを何でも話す。クラスに転校してきた戎(えびす)という苗字の少年のことを「きっと神様の子孫だ」と話すと、妹は願い事を叶えてもらうためにエビスくんに会いたがるようになった。 ところがエビスくんは暴力的な少年で、ひろしは彼からいじめられるようになる。妹の頼みのために耐えるが、クラスメイトはそれを知らず無抵抗なひろしを蔑む。小学生の話だけどそれぞれ譲れない思惑があって、そこが妙に大人びていた。ひろしは本当に強い子だと思う。 「ビタースィート・ホーム」 この話は5話中唯一、いじめとは少し違う。主人公は小学生の娘を持つ父親。小4の娘の日記をけなすだけで理解しようとしない担任に苛立つ元教師の妻を、主人公は持て余しつつも黙って話を聞く。事態はどんどん悪い方向に行き、保護者対担任の直接対決にまで持ち込まれる話。 娘の日記は出来事を淡々と書いているだけのもので、担任は「それについてどう思ったかを書け」としつこい。娘は頑として書かないが、最後にその理由が明らかになる。あまりにもしょうもないんだけど、確かに小学生の女の子ってしょうもない事を実行しちゃうんだよね。 最後には幸せそうな一家になってて、後味悪い話を4話読ませられた後だったからやっと人心地つけた気がした。 評価が高い理由がよくわかる内容とリアルさの本だったけど、2度読みはしたくないな。1度でおなかいっぱい。 |
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2006-04-13 Thu 00:06
もっとヘビーな話を書く作家だと思ってたけど、わりとさらっと読めたのは短編だったからかな。 「ひこうき雲」はクラスメイトが難病にかかったことを知った小学生の話。 「朝日のあたる家」は、10年前に夫を亡くした女性教師がかつての教え子に再会する話。 「潮騒」は癌を告知された中年男性が、小学生の頃に行方不明になった友人を回想する話。 「ヒア・カムズ・ザ・サン」は母が癌を問いただせない高校生の話。 「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の最後の3連作は、妻の癌を告知された夫婦の回顧、死ぬ当日、残された夫と息子達の3ヵ月後の話。 「病死」をテーマにしたオムニバスだったけど、登場人物たちの受け止め方が重過ぎないのに妙にリアルだった。「その日」で義父が言った「丈夫に生んでやれなくてごめんな」にはやられたよ・・・。 ほとんどの話が、小説の中の現在進行形では人は死なない。きれい事だけ集めたみたいで、途中まではもやもやしながら読んでいた。これが「その日のあとで」でつながり、きれいな連鎖になる。浅くも深くもないつながりの匙加減が絶妙。すごいな清。 大作家に対して自分でも何様のつもりと言いたいけど、ちょっと不満だった点がある。「朝日のあたる家」はなくてよかったんじゃないかな。唯一つながりのない話だったから、ちょっと浮いてる。それから、迎え火の話が一番感動したから、最後の花火大会、もうちょい盛り立てて欲しかった。 |
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